ブックオフの赤字幅拡大を受けて、「せどり」の今後について再考

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ブックオフの赤字については4月上旬に話題となった際、記事(ブックオフが赤字に転落)にした。

それから1ヶ月ほどたったが、ブックオフの赤字について、今回、また新たにニュースで取り上げられていた。
その理由は、以下の通り。

ブックオフコーポレーションは5月6日、2016年3月期の連結営業損益が5億3000万円の赤字になる見通しだと発表した。従来予想は1億5000万円の赤字だったが、家電や本・ソフトの買い取りが低調で、売り上げが見通しを下回った。

つまり、4月時点での予想よりも、今回、最終損益が大幅に下方修正となったわけだ。


そこで、これを機に再度、せどりの今後について考えてみたい。

低迷するブックオフの「せどり」事業

そもそもせどりとは、小売りなどから仕入れた品(中古・新品の別を問わない)を、それよりも高い値で売り抜ける商売である。


その意味で、基本的に中古商品を扱っているとはいえ、ブックオフもやっていることは、「せどり」と変わらないといえる。
つまり、上場企業として全国規模で「せどり」を行っているのがブックオフなのである。

主力事業は書籍の販売市場に依存

ブックオフはその名の通り、中古「本」の取り扱い事業が現在でも主力である。
そのため、ブックオフの事業は、新刊本の書籍市場に必然的に依存する形となる。
もちろん、ブックオフは、中古のCDやDVD(BD)、ゲームも取り扱っているが、それらの事情も中古本と同様である。


近年では、年々、書籍の販売市場が縮小しており(参考:日本の出版統計)、書籍市場に依存する形のブックオフの主力事業も、縮小は免れていない。

総合リユース事業への転換

主力の中古本事業の縮小を受け、ブックオフでは、近年、ハードオフ(ブックオフとは全く別の上場企業)とのフランチャイズ契約を解除し、中古家電のリユース事業に注力(2015年2月17日付日本経済新聞記事)し始めており、「せどり」としての取り扱い商品のさらなる拡充に乗り出していた。


しかしながら、このリユース事業への転換がうまく行かず、従来予想では、上場以来、初の営業赤字を見込んでいた。

主力の中古本事業でも赤字

4月時点の予想では、中古家電の買い取りが計画通りに進まない一方で、

主力の中古本やソフトメディアは、商品別の需給バランスを反映した値付けの導入や、「ヤフオク!」への出品効果が発現。期初計画の750億円を20億円上回る770億円となる見込み

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とされていた。


しかし、ふたを開けてみると、記事冒頭で紹介したように、主力の中古本やソフトメディア事業でも、買い取りが低調となり、最終損益を大幅に下方修正することに至った。



上場以来、営業黒字を維持し続けてきた、ブックオフの「せどり事業」は、中古本・中古ソフトメディア・中古家の買い取り不調により、初の重大な局面を迎えた、と言えそうである。

ブックオフの赤字転落に見る「せどり」の今後

ここでは、ブックオフの赤字が、ブックオフを仕入先とする個人レベルのせどらーにとって、どのような意味をもつのかについて、考えてみたい。

「せどり」の未来はどうなる?

ブックオフの赤字転落は、「せどり」の今後が明るくないということを如実に表していると言える。
「せどり」は、安く買って、高く売ることを基本に成り立つ商売である。
安く仕入れられなかったり、そもそも商品を仕入れられないことになったりすると、当然、商売としては成り立たなくなる。


ここで、「せどり」の一番の問題点は、販路はあっても、商品の仕入れが安定しないということである。
中古商品を扱う店は、新品の商品を扱う店よりも、圧倒的に数が少ない(実店舗にせよ、オンラインショップにせよ)のが、現状である。


「せどり」では、新品よりも、中古品を扱う方が、利幅が大きい。
なぜならば、中古品は売値が安い上に、希少価値等により、転売する際、さらに高く売れる可能性があるためである。


中古品は利幅が大きいとはいえ、扱う店がそもそも少ないことと、希少価値が付くほど少ないことなどから、利益の出る商品で、いつもでもコンスタントに仕入れられるような商品は、ほとんど無いと言っていい。
したがって、「せどり」で大きく稼ぐためには、どれだけ(利益の出る)商品を仕入れられるかにかかっている。


このように、「せどり」で大きく利益を上げようとすると、大量の商品を仕入れることが不可欠である。
しかしながら、今回のブックオフの事業低迷に見るように、「せどり」で最も重要であるはずの仕入れが、以前に比べて、難しくなってきていると言える。


つまり、今後、「せどり」で大きく稼ぐことは、以前のようにはできなくなると見た方が良い。

個人レベルなら、今後も稼ぐことは可能

「せどり」では今後、稼げなくなるだろうとの考えを示したが、それは、あくまでも、大規模に行う場合の話であり、個人レベルでなら、今後も稼ぐことは可能だろうと思う。


もともとの中古品という市場のパイが小さくなっているために、大規模に中古品を扱った事業を行おうとするなら、今後は、以前のようには稼げなくなるだろう。
ただし、個人レベルのように小さな規模でならば、パイの取りこぼしを拾うだけでも、十分な利益は上げられると考えられる。


そうとは言え、今後は、より小さなパイを取り合う形になるため、目利きが十分でない初心者や、目利きができても、資本が十分でないせどらーは、少なからず淘汰されることになるだろう。


かくいう私は、「せどり」から、アフィリエイトに、シフトしていくつもりである。

まとめ

  • ブックオフが赤字幅を大幅に下方修正
  • 今後、大規模な「せどり」はより難しくなる
  • 個人レベルでなら、これからも稼ぐことは可能だろうが、淘汰される者も少なからず出てくるだろう