高齢ドライバーの運転免許返納問題と自動運転車

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日本の高齢化社会が確実に進行しているのだと思わせる事故が増えてきているように感じる。

死亡事故の5割以上が高齢者…「ブレーキ踏み間違い」「線路走行」「高速逆走」

それと同時に、最近、AIについて盛んにニュースなどで取り上げらるようになった。


そこで、今回、高齢者の運転免許返納の問題と車の自動運転車との関連について考えてみた。

高齢ドライバー

上の記事にもあるように、このところ高齢者による交通事故の死亡者が増えてきているという。

交通事故の死亡者は26年には4113人でピーク時の昭和45年の4分の1以下となるなど減少傾向にあるが、高齢者の占める割合は16年は約41%だったのに対し、26年は約53%に達するなど増加している。

一般的に、人は高齢になればなるほど、運動能力や判断力が鈍くなっていく。
そのため、ドライバーが高齢になればなるほど、運転ミスや判断ミスなどにより、事故を起こしたり、事故に遭う可能性は高くなると言える。

認知症と運転免許返納

人の認知機能の低下を招く原因の一つに認知症がある。


現行の道路交通法では、認知症に該当する者は運転免許を認めないこととされている。(第90条第1項第1号の2、第103条第1項第1号の2)


また、75歳以上の者については、運転免許の更新時に、下記のような「認知機能検査」を受ける義務があるとされている(参考:道路交通法の一部改正について)。

  • 運転免許証の更新時(3年に1度)に、認知機能検査(簡易のスクリーニング検査)を受検し、
    認知機能検査の結果(第1分類【認知症のおそれがある者】、第2分類【認知機能が低下して
    いるおそれがある者】又は第3分類【認知機能が低下しているおそれがない者】)に基づき
    高齢者講習を受講
  • 第1分類であった者が一定の期間内に信号無視等の一定の違反行為をした場合には、臨時
    適性検査(専門医による診断)を受検

ただし、これらには下記のような課題があるとされる。

  • 3年に1度の認知機能検査では、検査終了後、次の検査までの間に認知機能が低下した者を把握することができない
  • 認知機能検査結果が第1分類であった者のほとんどが、医師の診断を受けることなく運転を継続している



そのため、平成29年3月から施行される改正道交法では、「認知症の恐れ」と判定された場合には、一定の違反校行為をしたかどうかにかかわらず、全員に医師の診断を義務付けることとされた。

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運転免許返納問題

高齢者ではない者からすれば、高齢者が運転免許を返納することについては、特段、反対意見もないだろう。
しかしながら、免許の返納を迫られる高齢者自身にとっては、これは大きな問題である。
なぜなら、免許を返納することによって、明らかに、行動範囲が制限されることになるからだ。


そのため、家族が免許を返納するように言っても、当の高齢者本人は、なかなか免許を返納しようとしない、というような問題も生じてくる。
家族としては、心配して言っているのであるが、言われた本人からすると、大きなお世話ということになるわけだ。

高齢ドライバーと自動運転

高齢ドライバーの運転免許の返納問題とは、つまるところ、高齢者が運転をしていては危険だから、高齢者からは免許を取り上げようという問題である。
もう高齢者に運転をしてもらいたくない者と、まだ運転をしたい高齢者との間で意見の相違が生じるわけである。


こうした高齢者の運転免許返納問題を解決する1つの手だてとして、自動運転車の普及ということが考えられる。

自動運転車

自動運転車とは、文字通り、人間が運転せずに自動で走向することができる自動車である。
こうした自動運転車は、公道以外の限定された環境では、すでに運用されており、これが市販されるようになれば、高齢者が運転免許を返納しなくても良い日が来るかもしれない。
もちろん、そうしたことが実現するためには、法の整備も必要となるであろうが、不可能なことではないと思う。


なお、下記記事にもあるように、平成31~32年に発売される自動運転車などへドライバーの運転状態が危険かどうかを判定できる人工知能を搭載することを目指している動きもあるようだ。
暴走運転感知で自動停止 オムロン、AI搭載センサーを開発

自動運転車について詳しく知りたいなら、こちらの本がおすすめ。

まとめ

  • 近年、高齢者による重大な自動車事故が増えてきている
  • そのため、高齢者の運転免許返納を促す動きが出てきている
  • 自動運転車が高齢者の運転免許返納問題の解決の1つの手だてとなるのではないか