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【光造形3Dプリンター】「ELEGOO MARS 2」レビュー

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これまで、2020年10月に「Phrozen SONIC MINI」、2020年12月に「NOVA3D Elfin2 MONO SE」と続けざまに2台の光造形の3Dプリンターを購入してきた。

そんな中、日本でもよく売れているらしいELEGOOの光造形3Dプリンターも気になっていて、いつか使ってみたいと思っていた。

ということで、3台目の光造形3DプリンタとしてELEGOOの光造形3Dプリンタを買うことにした。

ELEGOO MARS 2

ELEGOOの光造形3Dプリンターといえば、日本のAmazonでもよく売れているようで、光造形3Dプリンタの中ではレビュー数が群を抜いて多い

そんなELEGOOから、手頃な価格のmono-LCD(2K解像度)の光造形3DプリンタELEGOO MARS 2」が新たに登場したので、その機種をAmazonで購入することにした。

「ELEGO MARS 2」 と「ELEGO MARS 2 Pro」の違い

ちなみに、この「ELEGOO MARS 2」は廉価版モデルではあるものの、ELEGOOのMARSシリーズでは最新のモデルとなる(2021年1月22日)。

  • 日本のAmazonでの取り扱い開始日
    • ELEGOO MARS:2018/10/30
    • ELEGOO MARS PRO:2019/9/5
    • ELEGOO MARS 2 PRO:2020/9/5
    • ELEGOO MARS 2:2020/11/30

なぜか「ELEGOO MARS 2」よりも「ELEGOO MARS 2 PRO」のほうが先に発売されているという、ちょっとややこしいことになっている。

ちなみに、無印のMARS 2と上位機種であるPro版との違いは以下の通りである。

  • ELEGOO MARS 2
    • レジンバットが樹脂製
    • 脱臭用の活性炭ボックスなし
    • 予備のFEPフィルムの付属なし
    • カバーの色が緑
  • ELEGOO MARS 2 Pro
    • レジンバットがアルミニウム製
    • 脱臭用の活性炭ボックス内蔵
    • 予備のFEPフィルムが2枚付属
    • カバーの色が赤

印刷性能に関する限り、「ELEGO MARS 2」と「ELEGOO MARS 2 Pro」との間に違いはないため、価格差を考えると「ELEGO MARS 2 Pro」を選ぶメリットは少ないと言える。

ELEGOO MARS 2Phrozen SONIC MININOVA3D Elfin2 MONO SEの比較

ここでELEGOO MARS 2」の主な仕様について、これまでにレビューしてきたPhrozen SONIC MINI」や「NOVA3D Elfin2 MONO SE」と比較すると以下のとおりである。

ELEGOO
MARS 2
Phrozen
SONIC MINI
NOVA3D
Elfin2
MONO SE
外観
造形サイズ129 x 80 x 150mm120 x 68 x 130mm130 x 75 x 150mm
造形
スピード
30-50mm/h50 mm/h18-39 mm/h
LCD6.08インチ
2K (2560 x 1620)
mono-LCD
5.5インチ
(1920 x 1080)
mono-LCD
6.08インチ
2K (2560 x 1620)
mono-LCD
XY解像度0.05mm0.0625 mm0.05mm
Z解像度0.00125mm0.01mm0.01mm
レジン
バット
プラスチック製金属製プラスチック製
接続方式USBUSBUSB / WiFi
本体サイズ20 x 20 x 41cm25 x 25 x 33cm27 x 26 x 42cm
重量6.2kg4.5kg7.3kg
推奨
スライサー
Chitu
Box
Nova
Maker
Chitu
Box
アマゾンでの
消耗品の入手性
×
Amazonでの価格
(2021年1月22日現在)
25,650円30,499円
(クーポン適用後)
27,999円
(クーポン適用後)

この3機種の中では、「ELEGOO MARS 2」が一番コスパが良いのではないかと感じる。

開封

付属品は一通りのものが揃っている。

カバー用のゴムパッキン(ゴムシール)が付いており、密閉性が高められていた。

ELEGOO MARS 2」はMARSシリーズの4台目に位置するモデルということで完成度はなかなか高いように感じたが、レジンバット周りでいくつか気になる点もみられた。

まず、レジンバットを真上に持ち上げて取り出すことができない点について、これは残念な仕様だと感じた。

ELEGOOのMARSシリーズでは、レジンバットをいったん横にスライドさせなければ取り出せない仕様となっている。

また、レジンバットを固定するためのネジのツマミ部分が小さく、ネジを回しづらい点が残念だと感じた。

そして、ツマミが小さいがために指先で保持しづらく、ともすればレジンバット内に落としてしまいそうになる

レジンバット固定用のネジについては、多分そのうちレジンの海の中にダイブさせることになるのではないかと思っている。

サイズ比較

本体の大きさは、「NOVA3D Elfin2 MONO SE」と「Phrozen SONIC MINI」の間の大きさであった。

ELEGOO MARS 2」の一目見てわかる特徴として、本体各所が緑色を基調としたカラーリングとなっていることが挙げられる。

個人的にはNOVA3D Elfin2 MONO SE」のオレンジや「Phrozen SONIC MINI」の赤よりELEGOO MARS 2」の緑色の方が好みである。

本体起動

Powered by chitu systems“という表示があることから、ELEGOO MARS 2」はchitu systemsのボードを搭載しているということが分かる。

クールな印象の起動画面

本体の表示

本体の表示言語を日本語に設定することができる

ただし、わりと機械翻訳感があり直感的に意味を取りにくい表現がみられるため、個人的には英語表示の方が使いやすいと感じた。

真ん中の段の左端のボタンはオートホームなのであるが、一見しただけでは何のボタンであるのか分かりづらい

正直、意味がよく分からない日本語表現の例↓

明らかに英語表示の方が分かりやすい。

あふれ出る機械翻訳感

本体の日本語表示については、以前レビューした「NOVA3D Elfin2 MONO SE」でも同様のことができたが、ELEGOO MARS 2」はそれだけにとどまらなかった。

付属のマニュアルが日本語

ELEGOO MARS 2」では、付属のマニュアルが全て日本語で書かれており、なかなかに日本の市場を意識していることがうかがわれる。

マニュアルの日本語については、あからさまな機械翻訳というような印象はないものの、日本語としてはやや不自然さを感じさせる表現もみられた。

スライサー

CHITUBOXという無料のスライサーソフトが公式に推奨スライサーとされており、スライサー側で「ELEGOO MARS 2」のプロファイルが用意されている

設定はといえば、CHITUBOXを起動し、

起動後の画面で「Setting」をクリックし、

画面左上の方にあるゴミ箱アイコンの隣のアイコン(Add new printer)をクリックし、

表示されるリストの中から「ELEGOO MARS 2」を選ぶだけである。

レベリングの手順

付属のマニュアルに書かれてる通りに行えばよい。

テストプリント

プリント中の音はこんな感じとなっていて、結構ファンの音がうるさく感じた

AmeraLabs Town

NOVA3D Elfin2 MONO SE」のテストプリントの時と同様に、光造形3Dプリンタのベンチマーク用データ「AmeraLabs Townをテストプリントしてみることにした。

プリント設定

付属のマニュアルにプリント設定のパラメータの参考値が書かれているのでその通りに設定しておけばよい

デフォルトの設定からいくつかの項目の数値を変更し、以下の通りの設定でプリントした。

  • スライサー:CHITUBOX V1.8.0 Beta
    • Layer Height: 0.05mm ⇒ 0.03mm
    • Bottom Layer Count: 5(デフォルト)
    • Exposure Time: 2.5s ⇒ 1.5s
    • Bottom Exposure Time: 35s ⇒13s
    • Light-off Delay: 7s ⇒ 0s
    • Bottom Light-off Delay: 8s ⇒ 0s
    • Bottom Lift Distance: 5mm(デフォルト)
    • Lifting Distance: 5mm(デフォルト)
    • Bottom Lift Speed: 60mm/min ⇒ 90mm/min
    • Lifting Speed: 80mm/min ⇒ 100mm/min
    • Retract Speed: 210mm/min ⇒ 150mm/min

スライサーの予測プリント時間では59分17秒となっていたが、実際は1時間14分でプリントが完了した。

ここからは、テストプリントの結果とモデルデータを交互に示していくことで、テストプリントがどれだけ元データを再現できているかを確認しやすいようにしていく。

同じようにmono-LCD機となっている「Phrozen SONIC MINI」や「NOVA3D Elfin2 MONO SE」と同じ程度の出力結果が得られている。

付属のモデルデータ

ベンチマーク用のモデルデータ以外にもテストプリントしてみた方がいいだろうということで、プリンタ本体を購入したら付いてきた有料のモデルデータをプリントしてみることにした。

ELEGOOの製品で共通なのかどうかは分からないが、Myminifactory.comというところの有料モデルデータ($27)が付属のUSBメモリ内に入っていた

その中から、「Human_Female_Wizard.stl」というモデルデータを選んでテストプリントした。

プリント設定

デフォルトの設定からいくつかの項目の数値を変更し、以下の通りの設定でプリントした。

  • スライサー:CHITUBOX V1.8.0 Beta
    • Layer Height: 0.05mm ⇒ 0.03mm
    • Bottom Layer Count: 5(デフォルト)
    • Exposure Time: 2.5s ⇒ 1.5s
    • Bottom Exposure Time: 35s ⇒13s
    • Light-off Delay: 7s ⇒ 0s
    • Bottom Light-off Delay: 8s ⇒ 0s
    • Bottom Lift Distance: 5mm(デフォルト)
    • Lifting Distance: 5mm(デフォルト)
    • Bottom Lift Speed: 60mm/min ⇒ 90mm/min
    • Lifting Speed: 80mm/min ⇒ 100mm/min
    • Retract Speed: 210mm/min ⇒ 150mm/min

使用したレジンは、NOVA3Dの水洗いレジン(グレー)である。

モデルデータを見て、これはさすがにサポートなしでは無理だろうと思ったので、はじめてサポートを付けた状態でプリントしてみることにした。

サポートはスライサーの自動サポート機能で付けて、各種パラメータ(接地面の形状、軸の太さ等)の数値を少しいじっただけである。

スライサーの予測プリント時間では2時間37分9秒となっていたが、実際は3時間15分でプリントが完了した。

テストプリントの結果は、特に脱落しているところも見られず成功しているのだが、思っていたほど精細ではないという感想を抱いた。

ただまぁ、1円玉と大きさを比較すればよく分かるのだが、だいぶ小さいモデルなので、こんなもんなのかなとも思う。

これをFDM方式の3Dプリンターでやろうとすると、この精細さはなかなか出せないだろうし、できたとしてもプリントにはかなりの時間がかかるものと思われる。

これ以上の高精細さを求めるとなると、最近各メーカーから出始めてきた4K解像度の光造形3Dプリンタが必要となる。

まとめ

  • 3台目の光造形3Dプリンタとして「ELEGOO MARS 2」を買った
  • これまでに使った3台の光造形3Dプリンタの中では1番気に入っている。
  • フィギュアタイプのモデルのテストプリントは、プリント自体は上手くできたものの、思っていたほど高精細ではなかった。
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