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これまでのところ、2017年に中古の「ThinkPad T430s」(2013年製)を3万円で購入し、2018年に中古の「ThinkPad W540」(2013年製)を4万5千円で購入してきた。
今回(2019年)は、新品の「Thinkpad E595」(2019年製)を5万円で購入した。PCの買い替えというだけでテンションは上がるものだが、今回は新品での購入ということで、さらにテンションが上がった。
PCの買い替えにあたって
PCを買い替えるからには、買い替え前よりも全般的にスペックが上がっていてほしいものである。
CPU
「ThinkPad W540」からの買い替えでは、CPUはIntel製であれば第8世代以降のCore i5が最低ラインとなる。
なぜかといえば、「ThinkPad W540」はモバイルワークステーションに分類される機種であり、現時点で5年以上前の機種であるとはいえ、今の基準で見てもそこそこ高性能だからである。
「ThinkPad W540」に搭載されているCPUは「Intel Core i7-4800MQ」(第4世代)である。これは4コア8スレッドのCPUであり、その性能は現行世代のハイエンド(例:Core i7の上位シリーズ)には及ばないものの、現行世代のミドルレンジ(例:Core i5シリーズ)程度の性能は有している。
メモリ
「ThinkPad W540」はメモリスロットが4つもあったため、8GBのメモリを4枚載せて32GB構成としていた。
そのため、新たに購入するノートPCでも32GBのメモリを載せられることが最低ラインである。メモリが32GBよりも少なくなると、今まで出来ていたことが出来なくなってしまう。
ストレージ
「ThinkPad W540」ではストレージにSSDを載せていた。
1度SSDのような高速で読み書きできるストレージの使い心地を味わってしまうと、もうストレージがHDDのみというような環境には戻れなくなってしまう。
ということで、新たに購入するPCでもストレージにSSDが搭載されていることが必須となる。
新PCに求めるスペック
以上のことから、「ThinkPad W540」からの買い替えで要求されるノートPCのスペックは、以下の通りとなる。
ただし、ストレージやメモリについては自分で増設したり換装したりすることが比較的容易なので、初期状態でメモリの容量が足りなかったり、SSDが搭載されていなかったりしても、追加の購入で何とかなる部分ではある。
「ThinkPad E595」
これまで、ThinkPadを購入してきて満足しているので、今回もThinkPadの中から、候補の機種を見つくろった。
第8世代のCore i5相当のCPUが載っていることと価格が決め手となり、新品で5万円ほどの「ThinkPad E595」を購入することにした。
ACアダプタはコネクタの形状がUSB Type-Cで、アダプタ本体のサイズは小さい。
スペック比較
「ThinkPad E595」に搭載されているCPUはIntel製のCore iシリーズではなく、最近搭載する機種が増えてきているAMD製のRyzenである。
Ryzenといえば、Core iよりもコスパが高いというもっぱらの評価なので、ノートPCなどでの採用例が増えてきているのではないかと思う。
ここで、「ThinkPad E595」と「ThinkPad W540」のスペックを比較してみる。
ThinkPad E595 | ThinkPad W540 | |
OS | Windows10 Home (64bit) | Windows10 Home (64bit) |
ディスプレイ | 15.6インチ フルHD (1920 x 1080) | 15.6インチ フルHD (1920 x 1080) |
CPU | AMD Ryzen 5 3500U (2.1 – 3.7GHz、4コア8スレッド) | Intel Core i7-4800 MQ (2.7 – 3.7GHz、4コア8スレッド) |
グラフィックス | Radeon Vega 8 Graphics | Intel HD Graphics 4600 NVIDIA Quadro K2100M |
メモリ | 8GB (DDR4-2400) | 32GB (DDR3-1600) |
ストレージ | HDD 2TB | SSD 500GB + HDD 500GB |
光学ドライブ | なし | SSDに換装 |
Officeソフト | Office 365 solo | Office 365 solo |
その他 | テンキー付きキーボード、Webカメラ | テンキー付きキーボード、Webカメラ、指紋認証、リカバリーディスク付属 |
最大消費電力 | 45W | 170W |
本体サイズ | 369 x 252 x 19.95mm | 376.6 x 248.1 x 27.9mm |
本体重量 | 2.1Kg | 2.72Kg |
価格 | 5万円 | 4万5千円 (PC本体) +1万3千円 (SSD 500GB) +7千円 (メモリ8GB) |
購入時の状態 | 新品 | 中古 |
スペックを見てみると、CPUは要求水準を満たしているが、メモリとストレージが要求水準に達していないため、これらの追加購入が必要である。
なお、要求するスペックには含めていないもののスペックの向上している点として、本体が多少コンパクトになり、重量も軽くなっているほか、最大消費電力が大幅に減少している点が挙げられる。
「ThinkPad E595」の追加購入パーツ
メモリの容量とストレージの速度が足りていないので、この不足を補うために、追加でパーツを買い足した。
メモリ32GB
購入したのは、「Crucial」製のメモリである。
メモリスロットが2つしかないので、16GB×2枚で32GBとした。これで容量が要求水準を満たしたうえ、メモリの規格が「DDR3-1600」から「DDR4-2400」になったことで、以下の通りとなった。
NVMe SSD 500GB
私が購入した「ThinkPad E595」にはストレージとして2TBのHDDのみが搭載されていた。このHDDをSDDに換装する方法もあるが、「ThinkPad E595」には、M.2スロットがあり、NVMeのSSDを搭載することが可能である。
NVMeのSSDはSATAのSSDと比べて格段に高速での読み書きが可能なので、NVMeのSSDを買い足し、SSD+HDDの構成とすることにした。
なお、「ThinkPad E595」に搭載可能なNVMeのSSDの選択肢としては、インターフェースが「PCI Express 3.0 x2」のものと「PCI Express 3.0 x4」のものがある。
数字の大きな「PCI Express 3.0 x4」のほうが、より高速に読み書き可能となるわけだが、速度とのトレードオフで発熱量が増大してしまう。デスクトップPCと比べて排熱処理に余裕のないノートPCで発熱量が増えるのはよろしくない。
したがって、SATAのSSDより高速でありながら、発熱量がそこまで高くない「PCI Express 3.0 x2」のNVMeSSDを追加で購入することにした。
追加購入パーツの取り付け
追加購入パーツを取り付ける際に判明したのだが、「ThinkPad E595」ではバッテリーの取り外しが不可になっていて、メモリやストレージのみにピンポイントでアクセスすることができなくなっていた。最近のノートPC全般がそうなのかどうかは知らない 。
5年も経つといろいろと変わるものなんだと思った。
パーツ変更後のスペック比較
パーツを追加ないし交換した後のスペック比較は次の通りである。
ThinkPad E595 | ThinkPad W540 | |
OS | Windows10 Home (64bit) | Windows10 Home (64bit) |
ディスプレイ | 15.6インチ フルHD (1920 x 1080) | 15.6インチ フルHD (1920 x 1080) |
CPU | AMD Ryzen 5 3500U (2.1 – 3.7GHz、4コア8スレッド) | Intel Core i7-4800 MQ (2.7 – 3.7GHz、4コア8スレッド) |
グラフィックス | Radeon Vega 8 Graphics | Intel HD Graphics 4600 + NVIDIA Quadro K2100M |
メモリ | 32GB (DDR4-2400) | 32GB (DDR3-1600) |
ストレージ | SSD 500GB (NVMe) + HDD 2TB | SSD 500GB (SATA) + HDD 500GB |
光学ドライブ | なし | SSDに換装 |
Officeソフト | Office 365 solo | Office 365 solo |
その他 | テンキー付きキーボード、Webカメラ | テンキー付きキーボード、Webカメラ、指紋認証 |
最大消費電力 | 45W | 170W |
本体サイズ | 369 x 252 x 19.95mm | 376.6 x 248.1 x 27.9mm |
本体重量 | 2.1Kg | 2.72Kg |
購入価格 | 5万円 (PC本体) +7千円 (NVMe SSD 500GB) +1万6千円 (メモリ32GB) | 4万5千円 (PC本体) +1万3千円 (SSD 500GB) +7千円 (メモリ8GB) |
購入時の状態 | 新品 | 中古 |
ベンチマーク
「ThinkPad E595」の各種ベンチマークスコアを、「ThinkPad W540」のスコアと比較しながら見ていく。
総合性能
PCMark 10
「PCMark 10」は、実際の性能を計測することができるベンチマークテストである。
「PCMark 10」のテスト項目は、アプリケーションの起動時間やWebブラウジング性能、Officeソフトでの処理性能など多岐にわたるため、トータルスコアを比べることで、PCとしての総合的な性能の比較ができる。
テスト項目の内容が幅広い分、1回の測定にかかる時間が長め(PCの性能にもよるが30分程度はかかると思っておいたほうが良い)なのが玉に瑕である。
「ThinkPad E595」のトータルスコアは「3572」で「ThinkPad W540」の「3068」を上回っている。
加えて、「Essensials」、「Productivity」、「Digital Content Creation」の各下位テストグループでも「ThinkPad E595」のスコアが「ThinkPad W540」のスコアを上回っていることが確認できる。
Windowsエクスペリエンスインデックス
一番低いスコアが「8」となり、買い替え前よりも全体的な性能が底上げされていることが分かった。
CPU
CINEBENCH R15(マルチコア)
「CINEBENCH R15」はCPU性能を計測することに特化したベンチマークテストである。1コアでのスコアと、マルチコアでのスコアを算出して異なるCPU同士でスコアの比較をすることができる。
なお、「CINEBENCH R15」は公式サイトでの配布が終了しており、現在ダウンロードすることが可能なのは最新版の「CINEBENCH R20」である。
「ThinkPad E595」搭載のRyzen3500Uのスコアは 「671cb」であり、「ThinkPad W540」に搭載されているCore i7-4800MQの「609cb」を上回っている。
CINEBENCH R15(シングルコア)
Ryzen 5 3500Uのスコアは「133cb」であり、こちらもCore i7-4800MQの「131cb」を上回っている。
ストレージ
CrystalDiscMark
「CrystalDiscMark」は、ストレージの読み書き速度を計測するためのベンチマークテストである。
NVMe SSD (500GB)
当たり前の話だが、SATAのSSDと比べても格段に速い。
HDD (2TB)
NVMeのSSDの後に見ると驚くほど遅い。もう時代遅れ感がハンパない。
GPU
「ThinkPad E595」にはCPU内臓のGPUとして「Radeon Vega 8 Graphics」が搭載されている。これは本格的なゲームの用途としては完全に力不足である。また、「ThinkPad W540」搭載の「Quadro K2100M」もゲーミング用のGPUではなく、3D CADや3D CGなど業務用途のGPUである。
ということで軽めのゲーム用ベンチマークテストである「ドラゴンクエストXベンチマークソフト」でGPU性能の計測を行ってみた。
ドラゴンクエストXベンチマーク
「Radeon Vega 8 Graphics」のスコアは「9337」であり、「Quadro K2100M」のスコア「8924」よりも高い結果となった。
各種ベンチマークテストの結果から、「ThinkPad E595」の性能は「ThinkPad W540」の性能を全般的に上回っているとが分かった。
これで、買い替え当初の目的は達成されたことになる。総合的な性能が上がって満足しているが、以下の点も地味にうれしいポイントである。
まとめると、総じて非常に満足できる買い物だった。
・ThinkPad E595 (Lenovo公式直販サイト)まとめ
- ノートPCを「ThinkPad W540」から買い替えた
- 購入したのは新品の「Thinkpad E595」
- 全体的な性能が「ThinkPad W540」よりも上がって満足した
参考になる記事をありがとうございます。
とくにSSDの速度&発熱については大変勉強になりました。
1つだけ分からなかった点があります。
NVMe SSDの「PCI Express 3.0 x2」と「PCI Express 3.0 x4」はどうやって見分けるのでしょうか?
例えばこの商品だと公式サイトの仕様には「PCIe Gen 3」としか書いてありませんでした。
https://shop.westerndigital.com/ja-jp/products/internal-drives/wd-blue-sn500-nvme-ssd#WDS500G1B0C
形状などでも判断できる物なのでしょうか?
「WD Blue SN500 NVMe SSD」がPCI Express 3.0 x2であると判断する材料は以下の通りです。
・切り欠きの形状(参考:「M.2 SSDは超高速」という勘違い【速いのはNVMe】)・最大転送速度(参考:「M.2 SSDは超高速」という勘違い【速いのはNVMe】)
・複数情報ソース(参考:Ark Tech & Marketニュース、テックウインド)
Western Digitalの製品ページにデータシートがあり、そちらに「Express 3.0 x2」であることが明記されています。
よろしくお願いいたします。
ありがとうございます。
おかげで少しだけ理解できました。
となると
アマゾンの商品名「PCIe Gen 3 x4 with NVME」は誤表記なのでしょうか?
500GBは販売終了しているため250GBのリンクになります。
https://www.amazon.co.jp/dp/B07PC59ZDV
私が先に提示した情報から、自ずとExpress 3.0 x4ではありえないのではないか、と分かると思います。、読み取りの最大速度が1700MB/s(Amazonの説明表記ではバイト(B)ではなくビット(b)となっているようですが)という時点で、発熱に関してはExpress 3.0 x2と同等でしかないはずです。仮にExpress 3.0 x4だったとしても
発熱を気にするのであれば、規格がどうであるかより、実際の転送速度(≒発熱)がどの程度であるかを気にした方がよいと思います。
Western Digitalの製品ページにデータシートがあり、そちらに「Express 3.0 x2」であることが明記されています。
単純に速度が遅い物を選ぶだけでも(発熱対策の)効果はあるということですね。
何度もご返信ありがとうございました。